院長コラム

2023.10.27

鳥肌胃炎のお話

鳥肌胃炎のお話

今回は、『鳥肌胃炎』についてお話したいと思います。
鳥肌胃炎とは、胃の出口に近い前庭部を中心に比較的均一な顆粒状隆起が密集して認められる胃炎のことで、その名前の通り内視鏡所見が『鳥肌』のように凸凹して見えることからその名がつきました。病理学的には過剰な免疫応答によるリンパ濾胞の著明な増生が認められます。

鳥肌胃炎は、若年とくに女性のピロリ菌感染がある方に認められることが多い所見とされています。鳥肌胃炎は、悪性度の高い未分化型胃癌が発生するリスクが高いとする報告もあり、慎重な対応がが必要です。
とはいえ、鳥肌胃炎もピロリ菌感染の一つの形態に変わりはなく、過度に心配する必要はありません。

インジゴカルミン散布前
前庭部を中心に顆粒状の小さな隆起が
目立ちます。
インジゴカルミン散布後
色素散布により凹凸が強調され、
いかにも『鳥肌』のように見えます。

『鳥肌胃炎』と診断されたら、早めにきちんとピロリ菌を除菌し、定期的に胃の内視鏡検査を受けることが大切です。ピロリ菌除菌により、鳥肌粘膜は数年かけて平坦化し、萎縮様粘膜となります。しかし、除菌後に胃癌発生の頻度やリスクがどのように変動するか不明な点があり、除菌後も一定の発がんリスクが残ることが知られています。したがって定期的な内視鏡検査による経過観察が必要です。除菌時の年齢や背景粘膜の萎縮の程度、家族歴などを考慮したうえで検査間隔を症例毎に設定する必要がありますが、基本的には1年に1度をお勧めしています。

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