院長コラム

2024.07.01

ラズベリー様胃癌のお話

ラズベリー様胃癌(腺窩上皮型胃癌)とは、近年報告された新しいタイプの胃癌です。ピロリ菌(Helicobacter pyroli)未感染の方の胃粘膜に発生し、穹窿部や胃体部などの胃底腺領域に好発します。大きさはほとんどが5mm以下で強い発赤を伴う隆起性病変(ポリープ)であり、一見するとラズベリーのような見た目であることから、ラズベリー様胃癌というニックネームで呼ばれています。

このタイプの癌は、内視鏡検査により特有の色調や肉眼的形態から診断をする必要があるため、バリウム検査での質的診断は困難です。また内視鏡検査でラズベリー様胃癌が疑われる場合は、続けて生検(病理組織検査)を行い、診断を確定させることができるため、やはり内視鏡検査が最も重要な診断ツールであると言えます。

病理組織学的には腺窩上皮細胞に類似した腫瘍細胞で構成される低異型度の胃型腫瘍であり、本邦では胃型腫瘍の潜在的悪性度を考慮し、「癌」診断されることが多いですが、一般的には低悪性度です。

ラズベリー様胃癌の治療は、他のタイプの胃癌と基本的に同様です。腫瘍の大きさや進行度に応じて内視鏡治療(内視鏡的粘膜切除術:EMR または内視鏡的粘膜下層剥離術:ESD)や外科手術等の適切な治療法を選択します。

ラズベリー様胃癌の典型的な内視鏡像です。いかにも果物のラズベリーのような見た目です。

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