近年、内視鏡検査などを行っても、胃潰瘍・二指腸潰瘍、胃がんなど異常が見つからないのに、胃の痛みや胃もたれ、胸焼けなどのつらい症状が慢性的に続く方が多くいらっしゃいます。
以前は、『ストレス性胃炎』や『神経性胃炎』と診断されていましたが、新しい疾患概念が確立されたことにより、最近は『機能性ディスペプシア』と診断されるようになりました。
食後のもたれ感、早期飽満感(食べ始めてすぐに満腹になってしまう)、みぞおちの痛み、吐き気など症状は多彩です。
胃には、食事をためる(適応性弛緩)・食事を十二指腸に送り出す(胃排出能)という機能があります。適応性弛緩がうまくいかない場合に、早期飽満感が出現しやすくなり、胃排出能に異常が生じると、食後のもたれ感が出現しやすくなります。
胃の運動機能異常や胃酸過多、胃の知覚過敏、ストレス、ピロリ菌感染などが考えられていますが、まだはっきりとは特定されていません。
刺激の強い食べ物や脂肪の多い食事、過度なアルコール摂取なども症状を悪化させると一因と考えられています。
機能性ディスペプシアの診断は、内視鏡検査などで症状の原因となるような病気(器質的異常)がないことを確認する必要があります。
胃がんや胃潰瘍・十二指腸潰瘍などでも同じような症状を示すことがあるため、一度内視鏡検査を受け、ピロリ菌感染を含めた器質的異常がないかを調べることが重要です。